院内設備 - MRI検査装置

MRI検査とは

MRIとは、磁気共鳴画像法Magnetic Resonance Imageing の略で、X線CTとの違いは、X線ではなく磁気を使った検査ということです。体を強い磁場の中にいれ、ある周波数の電磁波を流すと体内の水素原子と磁気共鳴し、このときの原子の状態を受信し、コンピューターによって画像化します。
この検査で得られる画像は横断面だけでなく、縦・横・斜めとあらゆる断面、角度での撮像が可能です。また、X線検査では造影剤を使用していた血管・胆嚢、胆管・脊髄などの撮像も造影剤なしで痛みもなく簡単に検査できるという利点があります。

MRI検査装置

検査方法、注意点としては、

  • 長時間、動かないようにするためにどうしても全身麻酔が必要となります。
  • 検査時間は、約30〜60分程度です。
  • 検査中に多少の「トン トン トン」という工事現場のような騒音がします。
  • 強力な磁場を使う検査なので、体内に金属異物(骨折時のプレートや人工骨頭など)があると検査できません。
  • 実施費用は、体重により若干異なりますが、およそ50,000円〜程度となります。
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MRI検査の適応

中枢神経系疾患
●診断できる疾患
  • 脳、脊髄奇形
  • 腫瘍性疾患
  • 炎症性疾患
  • 血管障害(出血、梗塞)
  • 外傷性疾患
●診断できない疾患
  • 代謝性、中毒性疾患の一部
  • 変性性疾患、炎症性疾患の一部あるいは早期
脳・脊髄以外の部位
●頭頚部
  • 眼および眼窩、鼻腔内、口腔内、外耳〜内耳、食道、気管など
  • 軟部組織に関しては、鮮明な画像を得ることができるが、骨組織と接していることが多く、骨との関係を評価する場合には、CTの方が優れている。
●胸部、腹部
  • 呼吸や心拍によるアーティファクトが生じやすい。超音波検査やCT検査が優先されることが多い。
  • 組織コントラストには優れており、今後の研究が望まれる。
●四肢・関節・筋肉
  • 骨病変や軟骨下骨の診断には、CT検査が優れている。
  • 軟骨、腱、靱帯などの軟部組織性の構造物の描出には優れている。

当院では、2002年より、MRI装置を使い、脳や脊髄疾患などの早期発見、予防に活躍しています。そこで、比較的、見られる機会の多い脳、脊髄疾患の実際について少し紹介します。
まず、少し難しい話になりますが、MRIでは、T1強調像、T2強調像という2種類の画像をセットで撮影します。その他にFLAIR像やT1造影強調像などを撮影することもあります。

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画像と解説

画像と解説

MRI検査は、全身麻酔が必要となり、検査時間も30〜60分かかりますが、痛みなどは全くなく、今までは原因のわからなかった様々な疾患が、検査を行うことによって明らかになってきています。検査は予約制となりますが、検査した日に検査結果を聞いて帰ることも可能です。検査をご希望の方は、遠慮無く受付までお問い合わせ下さい。
また、画像診断の結果によっては、さらに詳細な情報を得るために、アメリカの神経病学専門医にセカンドオピニオンを聞くことも可能です。

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正常犬の脳

正常犬の脳
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椎間板ヘルニアについて

ヒトでもよく知られている椎間板ヘルニアですが、イヌでもしばしば見られます。椎間板とは、脊椎(背骨)の骨と骨の間にはさまっていて、クッションの役をしている一種の軟骨です。その内部にある柔らかい組織が、外にはみ出した状態をヘルニアといい、それが神経を圧迫したり刺激したりして、神経痛の症状を起こします。ヘルニアは、背骨のなかでも動きの良い部分に起こりやすく、頸椎と胸腰椎とに多く見られます。ダックスフントント、シーズー、ビーグルなどの犬種で多く見られます。

症状

痺激しい痛みを生じる場合や、しびれ感、知覚麻痺(物に触る感じや痛みなどを感じにくい状態)を生じ、場合によっては運動麻痺(力が入らない、四肢が動かしにくい)も起こします。さらにヘルニアが非常に大きくて、たくさんの神経が圧迫されると、尿が出なくなる排尿障害や、排便障害を生ずることがあります。このような場合は、すぐに手術で圧迫を取り除かないと、麻痺が残ってしまうことが多くなります。

治療

治療は、保存的治療(手術以外の治療法)と手術があります。保存的治療としては、安静にし、鎮痛、抗炎症薬などの薬物療法が行われます。しかし、急に足が動かなくなったり、排尿排便障害を起こすなど、強い麻痺の状態になったときには、早急に手術の必要があります。一定期間の安静や、薬物療法で効果のない場合にも、治療の選択肢の一つとして手術を考えます。

椎間板ヘルニアについて

矢印の部分で椎間板物質が突出し、脊髄を圧迫しています。この患者では、前肢後肢の麻痺が見られましたが、手術後、現在では元気に走り回っています。

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脳腫瘍について

ヒトと同様、ペット動物の寿命が延びたこともあり、今までは稀と考えられてきた脳腫瘍も比較的多く見られることが分かってきています。
脳腫瘍とは、脳の中(大脳、小脳、脳神経など)にできた「できもの(腫瘍)」のことです。脳は生命維持や記憶、運動機能などを全てつかさどっている臓器です。ですから、症状は、腫瘍の発生部位によりさまざまであり、けいれん発作や性格―行動の変化、目が見えない、四肢の麻痺などが見られることがあります。
治療は、発生部位にもよりますが、比較的、脳表層に発生した腫瘍では、外科手術が可能となります。また、深部に発生した腫瘍では、放射線療法が実施されます。脳腫瘍だからと決してあきらめることはなく、腫瘍の種類にもよりますが、治療により1年以上、通常の生活を送れることもあります。

脳腫瘍について
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脳炎について

犬における中枢神経系の炎症疾患は、原因により、感染性のものと非感染性のものに大別されます。感染性の原因としては、細菌、ウイルス、原虫、真菌、リケッチア、寄生虫などがありますが、犬で最も多いのがジステンパーによる脳脊髄炎である。また、非感染性のものでは、パグで最初に報告され、その他、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、マルチーズ、チワワ、シーズー、ミニチュア・ダックスなどにも見られる壊死性髄膜脳炎、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎、若齢成犬のステロイド反応性髄膜脳炎などがあります。

脳炎について

脳炎の原因の鑑別には、脳脊髄液(CSF)検査が必要になることがあります。脳脊髄液は、脳と脊髄の様子を反映するため、脳脊髄液を取り出して検査することには診断価値があります。特に髄膜脳炎を疑ったとき、脳脊髄液検査を併用することにより、より確定診断に近づくことが可能となります。検査内容としては、細胞検査(細胞数、細胞診)や蛋白濃度、ウイルス抗体検査などがあります。
※脳脊髄液検査は、一般的に安全で診断に有益なものですが、患者によっては危険性もあります。特に頭蓋内圧が上昇している場合には、脳脊髄液採取によって生じる脳圧の変化により、突然の脳ヘルニアを生じ、最悪の場合には、死亡してしまう危険性があります。

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水頭症について

水頭症とは、脳室内に脳脊髄液が貯留し、その結果、脳室の拡張を生じ、脳組織が圧迫されて、様々な障害を生じる疾患です。チワワ、ヨークシャーテリア、トイプードルなどに多く見られる傾向にあります。
症状としては、活動性の低下、発作、行動異常、斜視、視力障害などが見られることがあります。

水頭症について

著しく拡張した側脳室(←印)がみとめられます。脳は圧迫されて薄くなっています。

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